考え方

【学生さん必見!具体例あり】文系学生のための卒論の書き方

haw to write Graduation thesis

大学に通っている20代は高い壁に
ぶちあたることになります。

それは「卒論」

書きたいものを書けばいいのか?
書きやすいテーマは何なのか。
そもそも、どのように書けばいいのか、

実例を出しながら、解説していきます。

卒論のテーマの選び方

学部により、違うかと思いますが基本的には、
テーマは自分で決められるかと思います。

その際、誤ったテーマ選びをすると
執筆がすすまない。クオリティが上がらないなど
いらぬ苦労をすることになります。

まずは正しいテーマの選び方について書きます。

先行研究があるものを選ぶ

卒論をかくときに、勘違いされやすい
例の1つが、論文とは、今までとは
全く違う考え方を、書かなければいけないということです。

これは大間違い。新しい論説を唱えるのは
卒論指導をやる先生方の仕事です。

学生の仕事はたくさんの論説を集め
それを比較、分析して自分の立場を
書いていく作業です。

テーマを「A」と決めたとします。
第1章 Aとは何か 研究動機
第2章 Aに対する偉い人や社会の色んな意見
第3章 第2章で自分が、どう思うか
まとめ

こんな感じのイメージになります。

この中で、最も大事なのは
2章の情報収集です。

先ほど、先行研究の大切さについて
書きましたが、大学の図書館に行っても
本がない、論文がないとなると
卒業論文は苦行を極めることになります。

そして、データを救い上げるうえで、
もっとも楽なのは、新聞記事から引用することです。

新聞記事には確かな情報元から
最新のデータが引用されているケースが多く
有用なデータになります。

卒論のための取材術

本や新聞・論文などの文献も、勿論大切ですが
論文に深みや説得力を出すには、直接話を引く
取材や電話インタビューが有用になります。

事前準備が大切

6年前に私は、卒論を書いていたのですが
その際、多くの京都府庁職員さんにお世話になりました。

社会人5年目になった、今よくもあそこまで
しっかり時間をとってくださったものだなと
感謝と感動を覚えます。

取材対象の社会人は、とてもお忙しい方ばかりです。
そこで自分の欲しい情報を手にするには、事前準備が
必要になります。

質問リストを必ず準備してください。

聞くことだけでなく、なぜその質問をしたいのかまで
掘り下げることがよい質問をする最強の事前準備となります。

では、下記が僕が6年前に書いた、卒論のサマリ版になります。
12冊の本と取材で書きました。

卒論の具体例

京都府は多くの農山漁村を抱えている。
これらの地域は、安全な食料の生産、きれいな水の供給、
美しい景観や伝統文化の保存継承など多くの役割を担っている。

しかしながら、少子高齢化や産業構造の変化により、
深刻な過疎・高齢化に悩まされ、上記の役割が果たしにくくなっている。
そこで京都府は、冒頭に書いたような地域を「命の里」と名付け、
持続的発展を支援する施策を始めた。

この事業は果たして「命の里」を再生・持続的発展させていくために
有効な施策となるのだろうか。

本研究は、この事業に焦点を合わせるとともに、
ヒアリングを通して見えてきた本事業が抱える課題や解決策についても考察していきたい。

「共に育む“命の里”」事業(以下、命の里事業)の概要

「共に育む“命の里”事業」は平成21年度から、「里力再生アクションプラン」の一環で始まった。
この事業の目的は、京都府内の農山村地域が抱える多様な課題を解決するための総合的な施策により、
地域の再生と持続的発展を支援することである。

府内の農山漁村は深刻な過疎高齢化に悩まされている原因は大きく2つある。
1つ目が第一次産業だけで生計を立て続けることが難しくなったからである。
例えば、国内の木材需要の減少や農業においても効率性が重視され、
それ相応の投資が必要となったことに起因される。

もう1つが若者の漠然とした都市部への憧れが要因である。
こちらは、自分が住んでいる地域に誇りが持てないという心理的な側面、
就職先や大学がないといった物理的要因の2つに起因される。

「命の里事業」の内容を説明する。
この事業は2つの柱がある。ハード面・ソフト面の柱である。
まず、ハード面からみていく。
こちらは主に中山間地域が悩まされている鳥獣被害を防ぐ防護柵の設置、
農地整備、路面の整備が事例としてあげられる。
狙いとして、第一次産業従事者の収入の安定に繋げること、
新規就農者が入りやすい環境を整備することの2点があげられる。

次にソフト面の柱を見ていく。
本研究では、こちらを主に見ていくこととする。
地域の最も大きな課題は人材の不足である。

そこで府は2つの人材に関する制度を作った。
「里の仕事人」と「里の仕掛人」である。
「里の仕事人」は、振興局の府職員であり、そこから地域に出向き、仕事をする。

主な仕事として、地域の中の様々な立場の人を集め、話し合いの場を作ること、
話し合いの場で決まったことに基づき、
事業計画書を書くこと、
住民が補助金申請する際の手助け、
住民の相談に乗ること、
事業の紹介等が、主な仕事内容である。

「里の仕掛人」は民間人材を登用し、
ノウハウや人脈を活かすことで
地域の再生・持続的発展に貢献してもらおうと作られた制度である。
どのような事業を行うかは里力再生計画から外れない範囲で
「仕掛人」に委ねられている。

一例を紹介するとエコツアーの企画実施をする「仕掛人」がいる。
ツアーの募集・実施には資格が必要となるため、
民間人材が地域で活躍できる制度となっている。

 この事業の特徴を整理すると3点挙げられる。
1つは、地域住民自身がどの様な施策を打つかを話し合い、
それにそった事業計画づくりが行われること。

2つ目は、この事業に採択された地域には、
事業を支援するために「里の仕事人」と名付けられた、
様々なスキルを備えた府職員が地域に入ること。

3つ目が他の集落と連携して事業をすることも可能だという事である。
3つ目の特徴には2つの理由がある。
1つは、深刻な過疎高齢化が進んでいるため
単独の集落では事業が回らないという事情があるからである.

もう一つには異なる集落の地域資源を組み合わせることで、
相乗効果を狙い、より良いものを作り出すというねらいもある。

これらの特徴をもった「共に育む“命の里”事業」だが、次に、この事業の現状を見ていく。

「共に育む“命の里”事業」 現状

平成24年度で、38の地域において、この事業が行われ、
14名の「里の仕事人」がこれらの地域に派遣されている。
地域で行われている具体的な活動例を挙げると、
地域特産品の開発、ソーシャルビジネスの起業、
農産物直売所の開設、耕作放棄地地域マップ作り、
福祉関係の事業などが展開されている。

その成果であるが、いずれの事業も地域に、
劇的に大きな経済効果はもたらしているわけではなさそうである。
しかし、この事業によって、コミュニティの中で
経済が回っている事例があることは注目に値するのではないだろうか。

事例を3つ上げる。1つ目の綾部市の古屋集落で実施された事例では、
80代の方5名で栃の実を使ったお菓子を作り、販売している。
月に20万円程度の売り上げで決して「大儲け」しているとは言えない。

しかしお菓子を作りながら話をすることで高齢者の方にとって
作業場が憩いの場となっているし、活動を通じて高齢者が元気になれば、
いわゆる「産業福祉」の効果も期待できるかもしれない。

ここで「産業福祉」の考え方に少し触れておく。
「産業福祉」とは、徳島県上勝町の第3セクター
「株式会社いろどり(以下、いろどり)」の代表取締役である
横石知二氏の造語である。

横石は、「いろどり」を経営する中で、家でじっとしている高齢者より、
働いてお金を稼いでいる高齢者の方が元気であることに気が付いた。
商品である“つま”を採りにいくために高齢者は坂道を上り下りする。

そして、パック詰めをするときは指先を使う。
このような仕事が高齢者にとって良い運動となり、
認知症の予防や足腰の健康に繋がる。
高齢者が心身ともに元気な状態を維持するだけでなく
経済効果も期待できると横石は著書で述べている。

2つめは宮津市の日々谷地区で実施された事例を挙げる。
この地域では「こんにゃく」と「ごぼう」が特産品として生産されている。
それらを使って都市農村交流をしている事例である。
上記の事例と同様、地域で関わる人々の生きがいとなっている。

さらに阪急百貨店のような都市部の百貨店へ
販路を作ったことにより、食を通して、
地域の知名度を上げることができている。

3つ目の事例は舞鶴市岡田中地区の空き家を改修して
定住促進を目的としたゲストハウスを作った事例を紹介する。
この事例の興味深いところはゲストハウスの作られ方、利用のされ方である。

現在、全国の過疎地域で移住促進の政策が行われている。
舞鶴の過疎地域においても当然、行われている。
この事例では住民と行政が共同出資で空き家を改修し、
ゲストハウスを作ったのだ。

このことにより、移住を考える訪問者は、
地域での暮らしを体感して、移住の判断を下すことができる。

この事例からわかることは2つある。
1つは住民自身が、移住者を心待ちにして
受け入れ態勢にあるということである。

2つめは移住希望者は、岡田中地区の
“ありのまま”を見て移住を決断できることである。
このことから、移住者が長く地域にとどまってもらうことが可能である。

以上のように、38の地域があるものの、
少なくともこのような成功事例が存在することから
「共に育む“命の里”事業」は、コミュニティの再興や
コミュニティビジネスの構築に一役買っていることが分かる。

ただ、これらの事業に課題はないのだろうか。
次の章では、この事業が抱える問題点、
及び、より良い事業にするための私が思う改善点を述べる。

「共に育む“命の里”事業」の課題

ヒアリング調査に協力いただいた京都府庁の担当者によれば、
本事業が抱える課題は人材に関する問題であるとのことであった。

 人材不足を補う手段として「里の仕事人」
「里の仕掛人」の制度はできている。
しかしながら、「仕事人」の任期は3年しかなく、
いくつかの地域をかけ持っている者もいる。

「仕事人」は、様々なスキルを使って地域を支えているが、
地域の持続可能性を考えると、大切なことは、
地域の中から「仕事人」の役割を担うことが出来る人を育てること、
または、外部からそのような人物を呼び込むことではないだろうか。

もう1つの問題は、冒頭で少し触れたが、京都府の農山村地域は、
どこも深刻な人口減に悩まされている。
故に1つの集落単位では事業ができない地域まで出てきている。
いかにして人口減少を食い止めるかが、
この事業を成功させる鍵になるのではないだろうか。

5.考察

4章で挙げた課題を解決する上で、筆者が注目している制度が2つある。
「地域公共政策士」と「公共員」である。

「地域公共政策士」とは異なるセクターを繋ぎ、新たな価値を生み出す、
地域のリーダーを育成することを目的に作られた「地域資格」である。
京都の政策系の大学・大学院でプログラムを受講することにより得られる資格である。

もう1つは、「公共員」という雇用制度である。
この制度は、京都府が主体となって始めるもので、
雇用されたものは「参与」として3~5年間、
地域に入って事務や「仕事人」のフォローを業務とする。

「参与」とは特別職の非常勤職員で公務員という職業ながら「複業」が認められている。

しかしながら、制度を作れば、すぐに人材が地域に流れるわけではないと筆者は考える。
例えば「地域公共政策士」は資格を持っていれば仕事に就けるというものではない。

 筆者自身、「初級地域養成プログラム」を受講したが、
資格をとった後の受講生の待遇の仕方に改善の余地があると感じた。

というのも前述のように、有資格者しか就けない仕事があるわけではなく
活用の仕方がいま一つ分からない。それならば本研究が提案するように、
資格取得のためのプログラム修了生が「公共員」や地方公務員を志望したとき、
ある程度、優遇して選考するのはどうだろうか。

仮に、期間限定の雇用形態になったとしても、その後、地域で仕事を見つけたり、
起こしたりすることは、可能であると筆者は考える。
総務省の取り組みである地域おこし協力隊の事例によると、
一定の期間、行政の仕組みを使い地域で働くと、
その後も地域内の“繋がり”を使って
仕事を作ることが出来るという事例が、いくつもあった。

このように地域の事を実践の場で学んだ人間を
地域で雇用されやすい仕組み作りをすることで、
課題に挙げた人材不足と人口減の
一石二鳥の解決策になるのではないかと筆者は考える。

以上の事を踏まえ、まとめに入る。

6. まとめ

「共に育む“命の里”事業」は、
まだ全体が終了していないため評価を下す段階にないが、
ともかく現段階での評価を試みたい。

まず、綾部市や舞鶴の事例のように
「共に育む“命の里”事業」の制度で、
集落のコミュニティを再興することや、
より結びつきを強めることについては
一定に効果を期待することはできると思う。

しかしながら、持続的発展を考える上で、
必要な人口減に歯止めをかける、
新たに地域を担っていくリーダーの育成に関しては、
改善の余地があると私は考える。

考察で述べたように京都府は、
様々な制度を導入して地域の再生や
持続的発展を支援しようとしている。

筆者が大切だと思うことは、それらの制度をいかに組み合わせ、
相互作用を高められるかということである。
「共に育む“命の里”事業」を基盤に、新たな制度や人材育成を通して、
「命の里」を守り、発展させていくことが地域の持続的発展を助け、
これからの世代にも「命の里」が持つ機能や資産を繋いでいくことになると筆者は考える。

参考資料

1. 京都府農村振興課「里力再生アクションプラン」2009年

2. 京都府農村振興課「共に育む”命の里”事業」2010年

3.  今川晃・梅原豊 編『地域公共人材をつくる』2013年 法律文化社

4. 新川達郎 編『京都の地域力再生と協働の実践』2013年 法律文化社

5. 伊藤洋志・pha(ペンネーム) 『フルサトをつくる』2014年 東京書籍

6. 藻谷浩介『里山資本主義』2013年 角川書店

7. 藻谷浩介『デフレの正体』2010年 角川書店

8. 和田芳治 『里山を食いものにしよう』2014年阪急コミュニケーションズ

9. 倉坂秀史『政策・合意形成入門』 2012年勁草書房

10. 延藤安弘『まち再生の術語録』2013年 岩波書店

11. 矢崎栄司 『僕ら地域おこし協力隊』2012年 学芸出版社

12. 福島明美『未来を拓く地域づくり』2014 かもがわ出版

卒論執筆中の方は頑張ってください!