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自己啓発や副業に疲れた人が見落とした唯一のこと

2020年はコロナウィルスのニュースだけで丸1年が過ぎようとしています。

今や死語になっている感もある「ビフォーコロナ」という言葉。
2019年末、それまでの流れを皆さんは覚えていますか?
空前の副業ブームでした。

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様々な副業の手法が紹介され、それらで稼ぐノウハウが情報商材として売られていました。

会社や気疲れする人間関係を排除して、自分の生活費を稼いで、お金を貯めて投資に回して増やしていくことが「人生の正解」だと多くの人が信じようとしていました。
コロナ前の副業ブームや自己啓発ブームを見ていると、現状に不満を持っている人がとても多いように思います。

この記事では副業や自己啓発に疲れた人への対処法やインフルエンサーが信用できないと思っている人向けに書きました。
副業に疲れる理由やインフルエンサーが信用できない理由を社会学的観点から解説します。

自己啓発や副業をやりたい本当の理由は何か?

しかしながら2019年内閣府の国民生活に関する世論調査によると「現在の生活に満足している」と答えた割合は73.8%にも登ります。満足している人の割合は若者が特に高く18歳から29歳の男女ともに今の生活の満足度は非常に高い数値が出ています。

(内閣府:令和元年国民生活に関する世論調査https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-life/zh/z02-1.html)

一方で「悩みや不安を感じている」と答えた人の割合も63.2%います。悩みや不安に感じていることをアンケートした結果、「老後の生活設計」がもっとも多く56.7%、続いてが「自分の健康」で54.2%の割合です。

このことから、現代に生きている若者から40代までの人は今の生活では食生活や友人との関係、エンターテイメントなど充実した生活を送っていますが、自分の将来に対する展望が見えないことに不安を感じていることがわかります。

(内閣府:令和元年国民生活に関する世論調査https://survey.gov-online.go.jp/r01/r01-life/zh/z14-1.html)

副業をやり始める人の本当の理由は会社の人間関係に不満を持っていることや、人間関係の煩わしさ以上に将来に対する金銭的な不安であると結論づけることができます。

2011年社会学者の古市憲寿さんの著書『絶望の国の幸福な若者たち』では各種統計や先行研究を参照しながら、この国の若者の考え方や死生観を明らかにしようとしました。
この本の中で古市さんは若者を「絶望の国の幸福な若者たち」と形容しました。国のいく先や自分の未来に大きな変化はないだろうが、気の合う仲間と、そこそこ楽しくできれば満足だという若者像です。
もう少し具体的に書くと次の3つの要素を満たしているとき満足感を得ることができると考えられます。

  • 所属しているコミュニティの平均以上の生活水準であること
  • 承認欲求が満たされるコミュニティに属していること
  • 健康であること

今の若者は他人よりも大きく抜きんでようとしない傾向にあります。そのコミュニティに所属し続けづらくなるためです。
しかし前述したように落ちこぼれることを恐れているため平均点そこそこを取れるような努力はします。

自己啓発と副業のプロパガンダ

現代の若者が今の生活に大きな不満は抱えていないけれども将来に対する生活設計や老後の健康について大きな不安を抱えていることはご理解いただけましたか?
統計データでは上述したような結果が出ているのですが、それでも自己啓発や副業が大きなトレンドになっている理由を考えていきましょう。

2019年金融広報中央委員会の家計の金融行動に関する世論調査で20代の貯蓄額の中央値は71万円、30代になると240万円でした。多いか少ないかは勤めている会社や業界によりけりだと思うので、その議論は避けたいと思います。
多くの人にとって、ご自身の貯蓄額に改めて意識を向けるようになったきっかけは「老後2000万円」でしょう。

簡単に老後2000万円問題に触れておくと、発端になったのは2019年金融庁金融審議会の「高齢社会における資産形成・管理」というレポートでした。
そのレポートの中で、60歳での退職後20年から30年生きるためには約2000万円の貯蓄が必要だという試算を出しました。これは高齢の無職世帯の平均的な実収入は約21万円、平均消費支出は26万円ほどになるので毎月5万円ほどの赤字が出る、それを30年でかけ算すると1800万円になるというロジックです。

日経新聞をはじめ、日本では信頼性が高いとされるメディアが、大きく報じたためたくさんの議論を呼びました。2000万円も必要ないという意見もあれば2000万円ではきかないという意見まで様々でした。しかしながら多くの国民で共通認識として生まれたのが、このまま何もしなければ本当にマズイのではないかという将来への不安です。

この不安な空気をビジネスにいかしたのが「ビジネス系インフルエンサー」と呼ばれる人たちです。
彼らはまず、問題提起として、先ほどの2000万円問題や伸び悩んでいる年収を材料にして私たちの不安や恐怖を煽ります。

そして、聴衆や視聴者を「あなたたちは、このレベル(年収や生き方)で満足していいはずがない」と鼓舞します。
最後に自分自身の略歴を語り、誰でもできることを強調します。

その配信の聴衆が盛り上がってきたら、その方法論を示します。
これがプロパガンダの代表的な手法です。
プロパガンダという言葉はナチス時代のイメージと被ってしまいネガティブな印象を持つ人が多いと思いますが、政治家の街頭演説や先ほど例にあげたインフルエンサーの話し方など、日常生活の色々なところで使われています。

自己啓発や副業で疲れてしまう人の特徴

自己啓発や副業で疲れてしまう人の最大の特徴は何と言っても周りに目配りができる優しい人です。
そういった人の性格特性を分析すると、周りに目配りできる分、評価や見られ方を意識しすぎてしまう傾向にあります。

またSNSのフォロワー数や同時期に始めた人と比べてしまう人も要注意です。
社会学用語で「相対的剥奪」という言葉で説明できます。人はコミュニティ内で自分の立ち位置を見定めます。その中で劣等感を感じている状態を言います。

副業で疲れてしまう人は劣等感や伸び悩みなどで、もっと深く自己啓発にのめりこんでしまいます。
自己啓発自体は良いことですが、自己啓発により行動する活力を得るのではなく「自己啓発に取り組んでいる自分大好き」になってしまう恐れがあります。

最新の心理学研究において自信を持つことはポジティブでは得られないことが明らかになっています。
自分が成したことや、失敗しても心が折れなかった経験が自信になることがわかっています。

大切なのは成功を誇ることだけではなく、失敗から立ち直った経験やあなたが挑戦をした回数なのです。

コロナのワクチン関連で製薬会社の株価が急騰していますが、私たち一般市民が恩恵を享受できるのは少し先になるでしょう。
そこまで自己啓発や副業は流行り続けると思います。

その中で疲れてしまう方はうまくいった数だけではなく、挑戦や立ち直った回数を数えて見てください。

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