業界情報

【SHOWSTAGE】SHOWROOM前田裕二社長のVR事業

ネット環境が発達し、娯楽の幅が広がりました。その中に様々な動画配信サービスの登場が挙げられます。
その中でも社長が様々なメディアに登場し、ひと際注目を集めたサービスがSHOWROOMという動画配信サービスです。

SHOWROOM株式会社と社長の前田祐二氏


SHOWROOMは2013年に始まった動画配信サービスです。アプリ開発や、フジテレビ、ソニーのようなエンタメ業界の有力企業と提携しながらサービスを拡大してきました。2016年には「2016年を代表するアプリ」にも選ばれ大きな話題となりました。

SHOWROOMが注目され成長した理由

ではSHOWROOMは、なぜここまで大きな話題となったのでしょうか。要因を分析していきたいと思います。

  1. 後ろ盾に株式会社ディー・エヌ・エー
  2. 坂道グループを筆頭にアイドルと初期に提携
  3. 現実と連動させたイベント制度

1つずつ見ていきましょう。
まずは「後ろ盾にディー・エヌ・エー」です。2013年にサービスを開始した際にSHOWROOMはディー・エヌ・エーの一事業としてスタートしました。なぜスタートアップ企業が大企業と提携できたのでしょうか。それはDeNAファウンダーの南場智子氏とSHOWROOM社長の前田氏に面識があったからです。
前田社長は新卒での就活の際にDeNAの内定を獲得していました。しかし、前田社長は内定を蹴って外資系の金融企業に就職しました。その後も年に何回かメールでやりとりをしていたそうです。そして、前田社長のご親族が亡くなったタイミングで起業を決意し南場氏に相談し再び縁がつながることになります。

南場氏と前田社長の面識はDeNAの最終面接のみ。そこで南場氏が惚れ込み期間が経ってから縁がつながった。面接の短い時間で南場氏を惚れ込ませたのは前田社長からにじみ出る人生経験。Amazon創設者のジェフ・ベゾスの名言に「つまるところ、人はそれまでの人生で選択したことのある総体である」という言葉があるが人生経験と知恵が縁を結ぶ。

続いての要因は「アイドル市場から攻めた」です。前田社長の著書『人生の勝算』でSHOWROOMを一般的に大衆に受け入れられる動画配信プラットフォームに育てるため目を付けたのはアイドル市場でした。
アイドル市場に目を付けた理由は熱量の高さからでした。本の中では秋葉原の地下アイドルのライブに通い、営業したエピソードが語られていました。私自身も大阪のアイドルの卵のライブにいった経験がありますが、オジサンファンの熱量は半端なく高いものです。気持ちもお金もリソースをすべて突っ込んでいる感覚です。アイドルがSHOWROOMを選ぶと当然、そのファンたちもついていく流れになり大きなビジネスになります。

アイドル市場攻略のエピソードで特質すべきはAKBや坂道グループとの提携でしょう。前田社長は前述した南場氏の紹介で秋元康さんと話をする機会を得ますが2回ともうまくいっていません。そこで前田社長は秋元さんの著作を読み込んで、秋元さんの価値観に呼応するようなプレゼンに変更します。そして秋元さんに「天才」と言わしめるほどビジネスを一緒に進めるようになるのです。

  • ビジネスの基本は選択と集中
  • プレゼンは相手の価値観を揺さぶるポイントを把握してから挑むこと
  • 最後のポイントは「現実と連動させたイベント制度」です。
    SHOWROOMはビジネスなので、どうやって利益を拡大させていくかを考えなければいけません。
    そこでSHOWROOMでは配信者がポイントを競う「イベント」があります。このイベントの景品がターミナル駅での広告掲出や有名番組で声優ができることなど芸能人の「卵」から一皮むけるきっかけになるようなものが設定されています。

    それ故、配信者の芸能人の卵たちは全力で配信をします。その全力配信を見たファンたちが応援の気持ちをイベントに勝つためのアイテムに変えるために課金をしていくのです。私もSHOWROOMで演者を見に行ったことがありますがイベントの残り時間が少なくなると何百万ものお金が動き、熱量の高さがうかがえます。

    観衆を本気にさせるには、まず演者が本気にならなければいけない

    以上の3つがSHOWROOMが躍動した理由だと私は思います。何事も自分の人生を懸けたミッションでないと成功することは難しいですが、ミッションを完遂するための骨組みとなる戦略を現実的に組み上げる必要があります。

    【メモの魔力】若手営業マンが学ぶべきメモやノートをとる技術若手の営業マンは上司や先輩社員から 「メモをとれ」 「学んだことを日々、ノートにまとめろ」 こんなアドバイスを受けることがあると思い...

    AR/VR事業SHOW STAGE前田社長が次に目指す世界を考える


    2019年の12月にSHOWROOMは第二創業と位置づけ大きな施策を発表しました。

    1. 2020年中にDeNAから完全独立
    2. AR、VR事業「SHOW STAGE」立ち上げ

    まずはDeNAからの完全独立です。2013年にDeNAの一事業として始まったSHOWROOMですが、今はDeNAの子会社として動いています。分社から4年経ち、創業7年目を迎えて独立に向けて様々な方法で資金調達を行っています。
    もう一つの軸はAR/VR事業の立ち上げです。これは既存のSHOWROOMと2つの区別をしています。

    • 演者が素人からプロに
    • 平面の仮想空間からVRに

    まずは「演者が素人からプロに」という部分です。
    既存事業のSHOWROOMでは誰でも配信者になることが可能でした。自分や所属事務所がモデルと銘打てばモデルですし配信のクオリティにもバラツキがありました。SHOWROOMは前田社長の「運命に負けない。努力が平等に評価される世界を」というヴィジョンに基づいて設計されています。故に「シンデレラストーリー」が実現される可能性を大いに秘めています。

    一方でSHOW STAGEはプロコンテンツによる配信プラットフォームになります。配信までに審査があり、SHOWROOM株式会社が求めるレベルに達しているもののみ世に発信されることになります。前田社長はこれまで答えたインタビューの中で、誰でも発信する側に回れる環境が整ったことで発信者側にまわり、自己承認欲求が満たされたり共感しあえることの気持ちよさに大衆が気づいたことを指摘しつつも、発信者側に回ったからこそ、プロの発信のすごさに以前より敏感になり、より大きな感動や熱狂が生まれることを予測していました。

    次に「平面からVR」です。今年から日本でも5Gの実装が始まります。医療や自動運転の技術の発展はもちろんですが、エンタメ業界を大きく変えるといわれています。もっとも多く見聞きする情報は2時間の映画を数秒でダウンロード可能になったり、データ制限による低速の概念がなくなったりすることですがARやVRの発展も忘れてはいけません。まずはデバイスが変わります。今は大げさなヘッドセットが必要ですが5Gの普及とともにサングラス程度まで軽量化されるといわれています。次に、このサービスのようにユーザーが楽しめるコンテンツが次々に配信されだします。

    エンタメの世界はプラットフォームを提供できた企業が独り勝ちできる仕組みです。この事業が成功したらSHOWROOMがユニコーン企業になる大きな一手となるでしょう。